Vol.22 アジサシの仲間〜その2〜
(チドリ目カモメ科19種)
アジサシ類は夏のイメージを象徴するのに、ピッタリの鳥だ。『夏の空を想像して下さい。』と言われたら、真っ青な空に白い雲がたなびき、真っ白なアジサシが群れで飛んでいる感じを思い描く。やはり夏の空にはアジサシである。ここでは本土で普通に見られそうなアジサシの仲間を紹介する。 (KUBOTA) |
写真リスト
コアジサシは日本でも繁殖する一般的なアジサシの仲間である。 海岸べりの砂地や砂利の上で子育てをするのだ。 ある夏、鳥を探して海岸べりを歩いていると、どこからともなく 『キリッ、キリリッ』と声がする。 何事かと思って、空を見上げると一羽のコアジサシが、こちらをめがけて攻撃していたのだ。 いつのまにかコアジサシのコロニーに足を踏み入れてしまったらしい。 あっという間に十数羽の仲間たちも飛んできて、不法侵入者を追い出そうと、次々に私を攻撃する。 こりゃたまらんとばかりに、ほうほうの体で逃げ出した。 その場を逃れてから双眼鏡で覗くと、いるいる、たくさんのコアジサシが。 中には堂々と道の真中に巣を構えている夫婦もいたりして、まさにアジサシの園であった。 邪魔をしないようにと、その後静かにその場を立ち去った。 翌年同じ場所を訪れると、工事の車がたくさん入っていて、コアジサシのコロニーが跡形もなくなっていた。 私もショックだったが、はるばる海を越えてやってきたコアジサシたちも相当ショックだったに違いない。 (KUBOTA) |
●アジサシ (Sterna
hirundo) 日本では秋の渡りに多く観察される。春は沖合いを北上しているらしい。スマートな体型に、ベレー帽をかぶったようなその姿は愛らしい。 |
●コアジサシ (Sterna
albifrons) 繁殖地では数百羽が集団で営巣することもざらだ。秋口には東京湾などに集結するようで、時には5000羽を超す大群が見られることもある。 |
●ハシブトアジサシ (Gelochelidon
nilotica) ちょっと珍しい種類だが、毎年記録されているので、数少ない旅鳥だろう。冬羽の顔の模様が特徴で、眼帯をしているように見える。 |
次は、アジサシの仲間その3です。
南方の島々で観察されるアジサシ類を紹介します。(KUBOTA)