Vol.22 アジサシの仲間
(チドリ目カモメ科19種)

アジサシ類はカモメ類とともにチドリ目カモメ科を構成している。

多くの種類は魚を主食とし、上空から水中に飛び込んで魚をつかむ。

優雅にそして素早く、その細く尖った嘴で獲物を捕まえるのである。

アジサシの名前は、鯵(あじ)を刺して捕らえることに由来している。

(KUBOTA)

クロハラアジサシの仲間

クロハラアジサシの仲間は日本に3種類渡来する。といっても世界に3種類しかいないのだが...。

英名ではMarsh Tern(沼アジサシ)と呼ばれ、淡水域でも観察される。

羽衣に変化が多く、識別にはいつも苦労させられる。

(KUBOTA)

写真リスト

ハジロクロハラアジサシ  クロハラアジサシ  ハシグロクロハラアジサシ

◎「腹黒のアジサシ」

『クロハラアジサシ』名前から想像すると、なんとも性格の悪そうな名前である。

まるでいつも悪いことばかり考えているような、悪徳業者のようだ。

どうしてこの名が付いたのか、単純にお腹が黒いというだけの安易なネーミングだろうか?

では本当に性格が悪いかといえば、決してそんなことはない。

人の獲物を横取りするトウゾクカモメ類や、人に子供を育てさせるトケン類と比べれば、いい部類だろう。

何よりそのスマートな姿形がすばらしい。こんなにカッコイイのだから悪いはずがないのだ。

名前の由来となった黒いお腹は夏羽のため、日本ではなかなか見るチャンスがない。

いつも見るのは秋口が多く、その頃はみんな冬羽っぽくなっている。

いつか真っ黒な夏羽にお目に掛かりたいものである。

クロハラアジサシは英名でいうと 『 Whiskered Tern 』 だ。

その名もヒゲアジサシ

これまた楽しい名前である。確かに夏羽を見ると顔に白いヒゲがあるように見える。

日本人と外国人との視点が違っていて興味深いところだ。

(KUBOTA)


●ハジロクロハラアジサシ (Childonias leucopterus

日本では夏から秋に、アジサシやコアジサシの群れに混じってよく観察される。顔のパターンが特徴的である。
(KUBOTA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1992年7月4日茨城県波崎 NikonF3 ED800mmF5.6 【コメント】こいつの夏羽は日本のアジサシの中では一番美しいと思います。 ハシグロ夏なんて、ただの「まっくろくろすけ」ですよ。


●クロハラアジサシ (Childonias hybridus

主に数の少ない旅鳥だが、少数は霞ヶ浦で越冬しているらしい。冬羽のごま塩頭が私は好きだ。
(KUBOTA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1998年12月20日 茨城県北浦 NikonF5 AFS500mmF4 2倍テレコン使用 RDP2 【コメント】霞ヶ浦や印旛沼などで越冬する群れがいるようですが、けっこう移動するらしくて なかなか大きな群れを近くで見ることは難しいです。この日はけっこう良く観察できました。


●ハシグロクロハラアジサシ (Childonias niger

この3種の中で最も見ることが難しい種類だ。当然私も見たことがない。いつかこんな夏羽を見てみたいなぁ。
(KUBOTA)

【撮影者】 M.FUKAGAWA 【データ】 1999年7月4日千葉県銚子 NikonF5 AFS500mmF4 RDP2 【コメント】こいつもなかなか手ごわい奴でなかなか見れませんでしたが、 最近は昔より良く出ますね。とうとう夏羽まで見れちゃいました。 しかも北米の亜種みたいです、一日だけでしたが。


次は、アジサシの仲間その2です。

普通に見られるアジサシ類を紹介します。(KUBOTA)