Vol.44 アビとカイツブリの仲間
(アビ目アビ科5種、カイツブリ目カイツブリ科5種)

写真リスト
アビ オオハム シロエリオオハム ハシジロアビ ハシグロアビ


  野鳥の分類は,最も原始的な種から始まり,最も進化した種で終わります. 最も原始的とされるのがこのアビの仲間. そして,最も進化した種とはカラスの仲間です.

  さて,このアビ目アビ科の鳥は,世界中に 5種類しかいないんです!

「え〜?」って感じですが,本当です. ウオッチャーならば,日本の野鳥図鑑の最初に出てくる アビの仲間を何千回も見ていることでしょう. あの4種にハシグロアビを加えて全部なのです.

  今回はなんと!その5種全てを掲載できるのです. この幸運に感謝しながら, アビの仲間の紹介を始めたいと思います.

(CHINO)


「ハシジロアビ」

あまりに楽しく短かった北海道に別れを告げ
サブリナ号へ乗り込み
釧路から十勝へ向かっているときのことである。

また、寒い中甲板に出かけて行き
最後の探鳥をしていた。

ケイマフリやら、 ちっこいウミスズメ類を1羽1羽確認するという、
地道な作業がしばらく続いていた。

そんな時、なにやら海上でジタバタしている奴を発見した。

奴は船に驚いて逃げようとしているらしかった・・・。
(しかもかなり必死に逃げようとしているように思えた)

ところが、水面を助走する奴はいつまでたっても飛べないのであった。
翼は大きく、盛んに水面を叩き付けていた。
なんてかっこわるい鳥なんだ」と思わざるを得なかった。

かくして、その日俺はライフリストにその
かっこわるい鳥(=ハシジロアビ)」を加え、
道東の旅を締めくくったのである。

(MASUKO)


●アビ(Gavia stellata
 アビ目アビ科のアビです. なかなか見られない夏羽ではもっと特徴的な色をしていますが, 冬羽ではこのように灰色っぽくなっています. そして,他のアビの仲間と似ており,区別するのが難しいです. 普通,このように陸上に上がってる事なんてなかなかありません. (CHINO)
【撮影者】 M. FUKAGAWA
【データ】 2000年3月 千葉県銚子
Nikon D1 SIGMA 70-200mmF2.8HSM
【コメント】 港の船を引き上げるスロープに上がって休んでいました。


●オオハム(Gavia arctica
 アビ科の2種類目はこのオオハム. これも冬羽ですが,アビと比べると結構黒っぽいです. くちばしも太く見えますが,冬の海で遠くにいたら望遠鏡で確認するだけでも一苦労なのです. (CHINO)
【撮影者】 M. FUKAGAWA
【データ】 2001年5月 長崎県対馬
Nikon D1 Nikkor AFS500mm F4 2倍テレコン使用
【コメント】 河口の浜に上がって休んでいました。


●シロエリオオハム(Gavia pacifica
 アビ科3種類目のシロエリオオハムの夏羽です. 夏羽ではのどの所の色で他の種類と区別できます. シロエリオオハムは紫光沢の黒,オオハムは緑光沢の黒,アビが赤褐色です. 他に,シロエリというくらいで,後頭部が他の種よりかなり白いです. (CHINO)
【撮影者】 N. MATSUDO
【データ】 2003年2月17日 茨城県
Canon EOS1-V Canon EF500mm F4L IS EF1.4x(U) RDPIII

●シロエリオオハム(Gavia pacifica
 続いて,シロエリオオハムの冬羽. オオハムの冬羽に似ていて見分けるのが難しいです. オオハムより一回り大きく,前くびがより白いそうです.(CHINO)
【撮影者】 M. FUKAGAWA
【データ】 2001年4月 茨城県波崎港
Nikon D1 Nikkor AFS500mm F4
【コメント】 4月も末でしたがまだ少し頭が白くなりかけ。港の中で餌採りに良く潜ってくれました。識別点の顎紐は有名ですが下尾筒の黒いとこも注目点だそうです。


●ハシジロアビ(Gavia adamsii
 アビ科3種類目のハシジロアビの夏羽です. この種から夏羽の首から先の模様パターンが変わります. 体もさらに大きくなります. 海なし埼玉県ではこんな鳥,見る術もありませんです. (CHINO)
【撮影者】 M. FUKAGAWA
【データ】 2001年5月 茨城県波崎
Nikon D1 Nikkor AFS500mm F4 1.4倍テレコン使用
【コメント】 夏羽のハシジロアビはきれいで大きくて迫力ありました。

●ハシジロアビ(Gavia adamsii
 しっかり冬羽も押さえてあります. 大きさもさることながら(1羽でいたら初心者には判断つきませんが), 太くてやや黄色っぽいくちばしと薄めの背中がポイントです. (CHINO)
【撮影者】 M. FUKAGAWA
【データ】 2001年2月 千葉県千倉町
Nikon D1 Nikkor AFS300mm F2.8 2倍テレコン使用
【コメント】 初日は港から出ていってしまい、翌日やっと撮れました。幼鳥冬羽です。


●ハシグロアビ(Gavia immer
 ラスト5種目はハシグロアビ冬羽です. この鳥,古い図鑑には載っていませんでした. 1990年代にいくつかの観察例があるようです. すでにNJの野鳥シリーズでデジカメ写真を出していますが, その後ボストン近郊のケープコッドというところで撮れた写真を紹介します.
 ハシジロアビより一回り小さいらしいですが(伝聞かよ!), 同じような形のシルエットに鉛色のくちばしをしています. カナダ全域で繁殖する,カナダの国鳥的存在. 20ドル札と1ドルコインに描かれています(もしかして国鳥?). (CHINO)
【撮影者】 Y. CHINO
【データ】 2002年8月14日 アメリカ マサチューセッツ州 Cape Cod
Nikon F801S Nikkor ED500mm F4P 開放 RVP
【コメント】 車で移動中に1羽浮かんでいるのを見付け,慌てて車を停めて撮影しました. 一度遠くに泳いでいってしまったんですが,待っていると再び帰し近くまで戻ってきました.周りにボートがいくつか停まっており,画面に入らないようにこちらの位置を変えながら撮りました.


次は、アビに続く2番目のカイツブリ類が登場します。

(CHINO)